ニューアルバム配信しました。まっだまだいきます。

ニューアルバム配信しました。まっだまだいきます。

2022年2月23日

のっけからお詫びします。今回のアルバムはデジタル配信です。レコード他のフィジカルリリースは今のところありません。笑


The ピーズというバンドがずっと好きな理由のひとつに、大木温之というシンガーソングライターが歌う歌が、すこしずつ変化していくさま、というのがあります。
1987年から活動、いったん休止を挟んで復活、今に至る歴史の中で、時に激流の中から、蚊帳の外から、時に少し余裕のある振り返りと共に。卑屈な文句だったり、語り掛けだったり、静かな独り言だったり。誰に向けることない、でも、聴くものの心にスッと入って印をつけるという。
リアルタイムに生きる人間の、平和な(?)世界で感じるさまざまな心の凪が、時間と共に少しづつ変わっていきながら、常に誰も置いていかずに心を捕まえていくところだったりします。



MANGADORONというバンドも活動期間は長くなってきていて、あと数年で20年選手に手が届く。

音楽で飯を食うは叶いそうになく、就職したり転職したり、ずーっと「働きたくない!」と声高に歌うこと10数年。
結婚して子供が産まれて、「人生やり残しはしたくない」ので「働いてる暇ねえ!働きたくない!」なんか、あんまり変わんないな。

音楽との付き合い方は少し変わっているかもな。爆音が正義!の当初のスタイルから、徐々に緻密なアンサンブルを目指したり、ヒップホップはじめいろんな音楽の面白さに気がついたり、最近はアコースティックギターに手を出したり。
ライブハウスだけじゃなく、イベントスペースとか飲み屋とか「日常にスパイスを求める多くの人がいる場所」という場所に演奏場所を拡げていったり。

環境は容赦なく変わっていく。コロナで世の中がガラッと変わったり、メンバーが引退したり(!)、腹が出たり、枕から父親の匂いがしたり(!!)、老眼が始まったり(!!!)、体は容赦なく衰えていく(たぶん、心も)。

そういう変化に抗がい向き合う、現在のMANGADORONの音や曲は、やっぱりちょっと変化していってるのかもね。

そういえば、サウンドエンジニアリングの佐藤氏は18歳の上京時の学生寮の向かいの部屋に住んでいた。
旧友にも程がある人物。卒業から20余年、ほんと久々のがっぷり四つ。お互い変わったような、変わってないような。これも因果というか、感慨深い制作チームという。


“Useless”​
【発音】júːsləs【形】1. 使い物にならない、役に立たない、無用な、無駄な、使い道のない、無益な | 2. 能がない


仕事仲間と渋い深酒を交わしてしみじみしたり、ふとした時に歳とったなーって思ったり、昔はよかったな、いまだに来る怒りと眠れぬ夜、なーんにも考えたくない、飲んでたい、いつもの安定のシチュエーション。今回もポップでロックにまとめた新曲4曲と、3ピース編成時の集大成的楽曲「不発弾」「ロケット」もリアレンジ。出来上がった曲並べて、パッと素直に浮かんだワードをタイトルに冠しました。安定!


ミュージックビデオは新曲から。
なんかプライベートでも色々思い悩む時期、桑田佳祐の激情型メロウソングみたいなのやりたい!っていう着想からグリグリ書いたこの曲、仕上がってみると安定の「くたびれました」。くたびれてたんだもん。


ジャケットアートはコンテンポラリーアティスト 濱口直輝氏の作品 “Piss off“。
地上2メートルくらいの高さに置かれた便器と、脚立。はいどーぞ。おい。

実物は残念ながら見れなかったのですが、写真だけでもなかなか圧巻。

濱口氏と会話した時に聞いた、ハイヒールが生まれた背景の話。
中世ヨーロッパは道がウンコだらけだった、と。

「捨てまーす!」って言えば何捨ててもいい、住居の2階の住人がバケツにウンコやシッコためて、いっぱいになったら「捨てまーす!」って窓からビジャーー。
で、みんな汚れた道を歩く時にスカートを汚さないために高下駄な靴を履く、その靴がオシャレだというので流行る。
んで、いまやスタンダード、ハイソなファッションアイコンになった。みたいな。(諸説あるようです)

その文化の歪みというか、源流を見た時のずっこけ感というか、おおらかさというか、無意味でアホなものに対する優しい肯定感みたいなことを感じ。
そんな出来事にひとつインスパイアを覚えたであろう濱口氏の、シニカルでユーモラスさを感じるこの作品に”Useless”という言葉へのリンクを感じ、作品を使用したい旨申し入れ、快諾いただきました。

地上2メートルの便器は、どこにどんな文化を生むのか。
MANGADORONのオン・ゴーイング・地べたな歌は、誰かに何か心象変化を与えるのか。

発信することはまだやめられぬ。
インプットもアウトプットも止めぬぞ、という思いを込めつつ、このアルバムをお届けします。

プレイリストに入れていただいてもよし、アナログレコード聴くみたいにビール片手にゆっくり通していただくもよし。
ぜひぜひ、聴いてください。

「やべえ!アナログとCD作んないと、ニーズがやばい!」ってなることを祈りつつ。笑

ゆうたレッド